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こんにちは!RadFan編集部です!
今回は「あたらしい書斎」(いしたにまさき)をご紹介します。

あたらしい書斎あたらしい書斎
(2012/09/21)
いしたにまさき

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これまで、書斎、という言葉からは、
仕事の資料と書き物机を組み合わせた、
いわゆる「書庫」のような、仰々しいものをイメージしていましたが
この本を読んで、いい意味で裏切られました。

モバイル装置が発達し、ノマドな働き方が浸透し
仕事の時間はどんどん細切れになっている現代だからこそ、
細切れではないまとまった思考時間を作るために
自分の頭を切り替えるための装置が「書斎」。

一畳の空間と机と本棚、区切られたスペース。
書斎に必要な機能を最低限でも確保していればよい
というLifeHackですね。

IKEAの家具を使ってどのように配置する、という間取りの具体例や
江戸川乱歩をはじめとする先人たちの書斎の紹介などもあり
読み応えあります!
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2013.09.16 Mon l l コメント (5) トラックバック (0) l top
こんにちは!RadFan編集部です。
しばらくご無沙汰しておりましたが、オススメBook Review
満を持して再開いたします!

今回ご紹介する本は
「不撓不屈」(高杉良)です。
不撓不屈 (角川文庫)不撓不屈 (角川文庫)
(2013/05/25)
高杉 良

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税理士・飯塚毅氏が、国税局の不当な弾圧・圧力に屈することなく、長年に渡る裁判、国会闘争と闘いぬいた実話「飯塚事件」に基づく小説。

「別段賞与」という、法人が大きな利益を計上した際に従業員の努力の成果として配分する賞与の会計処理。
経営基盤が弱い中小企業を支援するために、飯塚毅氏が編み出した、合法的な節税だったが、国税局はこれを脱税幇助とみなし、私怨なかばの強硬な税務調査を進めていく。

自身だけでなく、顧客にまで執拗な調査が続き、
とうとう4人の部下も逮捕され、刑事裁判に展開していく。
このような凄絶な状況の中でも、決して信念を曲げず、
家族や部下と支えあい、支持者を得て、この裁判に勝利していく
飯塚氏の胆力に胸を打たれます。

自分の信念を曲げず、国家に挑む。その姿勢、なかなか想像しにくいですが、強い感銘を受けます。
これだけの忍耐力、信念の礎になっているのは
自分の弱さを強く嫌悪して、厳しい鍛錬を自分に課してきた
これまでの実直な努力だということが、幼少期のエピソードから見て取れます。
自分に厳しいからこそ、不実を許さない強い信念が生まれるのだと思います。

また、「自利利他」の理念にも、強く感銘を受けました。
飯塚氏は、TKCを創立の際に、「自分の利益とは、他人の利益を実現することにある」という理念を経営の基本原理として掲げています。

同じ日は二度とはやって来ない。人生の一回性を思えば、毎日は真剣勝負。「努力のないところには幸福はない。決断のないところには解決はない」と、作中に禅の言葉が紹介されています。不断の努力で、自分もそのような、強い信念を持った人間になりたい、と強く思いました。

2013.09.08 Sun l l コメント (0) トラックバック (0) l top
こんにちは、バッカスです。

今回は「モーツァルトとレクター博士の医学講座」をご紹介します。

モーツァルトとレクター博士の医学講座モーツァルトとレクター博士の医学講座
(2012/11/20)
久坂部 羊

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まずタイトルに惹かれてしまう本書。
確かに、レクター博士(「羊たちの沈黙」)からの引用が、数箇所に見られます。
日下部 羊氏は、呼吸器系、消化器系、循環器系、神経系・・・などに分けて、人体の各所について解説していきます。

例えば第5講「神経系」では「羊たちの沈黙」を絡め、レクター博士が憎まれ役の司法省監察次官補を捕まえ生きたまま頭蓋骨を切り取り露出した脳をすくって食べるシーンを引用し、しかし、脳の表面には知覚神経がないので、救い取られても痛くない、頭蓋骨を切断するときだけ局部麻酔をかけておけば、問題なくできるだろう、という医師ならではの見解を示しています。

他には、男性ホルモンによって起こる男性型脱毛について自身の増毛剤使用経験を披露したり、若かりし頃に観察した自身の精子の動きを解説したり、また昨今の健康ブームで広がるサプリメントへの疑問なども書かれています。
また、健康を求めすぎるあまりに行き過ぎた健診(メタボリック検診など)や、行き過ぎた治療についても、果たしてそれが幸せなのかと疑問を呈しています。

知っているようで知らない、医学の知識が得られる一冊。
氏は、世間があまりに健康を求めるために詐欺に近い情報や商品が氾濫している、それに騙されない知識を持ってほしいとしています。
2012.12.10 Mon l l コメント (0) トラックバック (0) l top
こんばんは、バッカスです。
少し前に話題になっていた本ですが、ご紹介いたします。


心を上手に透視する方法心を上手に透視する方法
(2011/08/25)
トルステン・ハーフェナー

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著者はドイツ人で“マインド・リーダー”として活躍する、トルステン・ハーフェナー氏。
広告を大々的に出していたのは少し前でしたが、今頃読んでみました。
ドイツでは35万部を突破し、世界各国で翻訳されているベストセラーだそうで、日常生活で使える「マインド・リーディング」のテクニックが分かりやすく書かれています。

第1章“世界は、あなたが考える通りにある”、第2章“「身体」を見れば、「心の内」がわかる”、第3章“「暗示の力」を使いこなす”、第4章“メンタル・トレーニング”、第5章 “意識を「今このとき」に集中する”、第6章“はかり知れない「可能性」”の全6章から成っています。
“心を透視する”というタイトルの言葉に、正直少し胡散臭さを持っていましたが、内容を読むと、納得できるものでした。少し前に、「人は見た目が9割」という新書も売れていましたが、この著者も第一印象が大事だと言います。それは第一印象を覆すことはとても難しいからだそうで、確かに私たちは最初に人に会った時の印象が強く残ってしまいます。人間の癖や、固定観念というものはなかなか覆すのは難しいということを、この本の中のテストを実践してみると感じます。
“左手薬指の指輪を見て既婚者だと判断する”というような、私たちが普段何気なく推測に使っている観察を、さらに深く広くすることで、読み取れる情報量が多くなり、結果的に“透視”したように思えるのかもしれません。
仕事でもプライベートでも、ちょっとしたしぐさや言葉から相手の本音を感じ取ることができたら、スムーズに行くことが増えそうです。
うわべの言葉だけでなく、相手の真意を汲めるように、観察力や質問力を高めていけたらいいなと思います。
2012.11.19 Mon l l コメント (0) トラックバック (0) l top
バッカスです。
今回は10月に新潮新書から出たビートたけし氏の「間抜けの構造」です。


間抜けの構造 (新潮新書)間抜けの構造 (新潮新書)
(2012/10/17)
ビートたけし

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「見渡せば世の中、間抜けな奴ばかり。どいつもこいつも、間が悪いったらありゃしない。“間”というものは厄介で、その正体は見えにくいし、コントロールするのも難しい。けれど、それを制した奴だけが、それぞれの世界で成功することができるんだよ―。芸人、映画監督として、これまでずっと“間”について考え格闘してきたビートたけしが、貴重な芸談に破天荒な人生論を交えて語る、この世で一番大事な“間”の話。」
・・・という説明書きがついています。

日本人が大事にする、“間”というものについて、ビートたけし氏のこれまでの経験から、様々な角度から書かれています。

第一章では、実際にお弟子さんの中にいた“間抜け”な方々の“間抜け”な行動について具体的に書かれていて、間抜けも後でネタになると思えば芸人には決して“間抜け”がマイナスばかりではない、サラリーマンの常識と芸人の常識は違う、といったことが書かれています。
運転手をしていたお弟子さんの中には、ビートたけし氏を送り届けた後に駐車場に車を入れられなくて朝まで切り返しを続けて地面が真っ黒になっていたという話や、方向音痴のお弟子さんは一度送る場所まで前日にルートを実際に走って確認していて、翌朝たけし氏を迎えに行く時間に間に合わなかったなど、信じられないエピソードが満載でした。

第二章以降は、お笑いの間、落語の間、テレビの間、スポーツ・芸術の間、映画の間、人生の間・・・について、それぞれ書かれています。
お笑いでは、お客さんの反応によってボケとツッコミの“間”を、ツッコミの担当が敢えて変えてみる、落語の場合はほとんど“間”を変えないなど、なるほど、と思うことがたくさんあります。

最後の人生の間については、ご自身の青春時代の“間”について書かれていて、様々な職業を経験して感じられたことや身につけたことが伺え、興味深いです。
2012.11.04 Sun l l コメント (0) トラックバック (0) l top
こんにちは、TNBです。
今回のオススメする書籍は、「オーパ!」(著/開高 健)です。

オーパ!
開高 健
集英社文庫
本体952円

オーパ!


 開高 健による約2ヶ月のブラジルアマゾン釣り紀行。ブラジルへの旅が行われたのは1977年、開高 健がなんと46歳の夏!?取材クルーとこれからアマゾンに挑むため、共に客船「ロボ・ダルマダ(無敵艦隊のオオカミ)」号に乗り込むところから始まります。船中で現地の食事に舌鼓をうつシーンや持ち込んだシャーロックホームズを読み少年時代を思い返すシーン、旅の仲間にアマゾンの風土や同音異義語(日本人にとって普段から使う言葉が、現地では全く別の意味の言葉に聞こえてしまう)の注意を受けるシーンから始まります。
 現地の人の生活や文化に触れながら、大の大人ほどの体調のピラルクー、獰猛なアマゾンのハンターであるピラーニャ(ピラニア)、全身が黄金色に輝くトラドなどのアマゾンに生息する魚たちに挑んでいきます。ちなみに「オーパ!」とはポルトガルの感嘆詞で「すごい!」「わぁ!」などを意味します。
 第1章から開高 健独特の、男臭く緻密なのに情熱的な文章が展開されます。「くにゃくにゃ」「ねっとり」といったどこか可愛らしい擬音が所々に使われているのも開高 健の文章の特徴です。外国での出来事をとても鮮明に思い起こさせてくれる文章は、サントリーの宣伝部でコピーライターとして活躍していたころに鍛えた開高 健だからこそできるもので「さすがだな」と感嘆してしまいます。文中の表現もそうですが、章タイトルも「死はわが職業」「心は淋しき狩人」など印象的です。
 また、この本はジャングルの一瞬一瞬をとらえた写真が、フルカラーで豊富に掲載されており、よりリアルなブラジルの姿と遠くアマゾンの風景をありありと感じさせるとともに、南国を旅している気分にさせてくれます。私自身は釣りはほとんど行ったことがなく、あまり興味もなかったのですが、様々な魚を釣り上げ満足げな笑みを浮かべている開高 健自身の写真を見ていると、読んでいるこちらも楽しくワクワクしてきて、「釣りっておもしろそう!」と思わせてくれます。
 日本は秋も深まり、冬まっしぐらな季節になってきましたが、常夏のアマゾンを読み自分を熱くさせてみるのもいいかもしれません。
2012.10.29 Mon l l コメント (0) トラックバック (0) l top
編集部のバッカスです。
今回はこの本をおすすめします。


アイデアは考えるな。アイデアは考えるな。
(2009/11/19)
柳澤 大輔

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著者は面白法人カヤック代表取締役 柳澤大輔氏。
帯には「すごい企画を1個出すよりすごくない企画を100個出せ!」とあります。
本書は、第1章「悩まずに、まず乗っかろう」、第2章「成長するためのヒント」、第3章「誰でもアイデアマンになれる」第4章「壁を越えるための発想法」、第5章「ゴールへとつながる道」の5章から編成されています。

著者はまず、仕事でもプライベートでも、自分のフィルターを取り払って、「乗っかってみる」ことが大事だと語ります。高校生の頃、とても人気のあった先生が「面白いからぜひこの本を読んでほしい」と言った本を、数週間後に実際に読んだ人はクラスの40人中3人だけだったというエピソードを出し、素直に「乗っかる」ことができるのは、その程度の割合だろうといいます。しかし、実際に素直に「乗っかる」ことができれば、新しい発見が待っているのです。

また、自分を成長させるためには、少しずつ難しいことに挑戦する必要があるが、追い込まれていくつものタスクをすべてこなせなくなった場合の、抜け出し方を示しています。自分が置かれている状況を認め、もしできなくても大したことではないと思い、そこから「できる、できる」と自分に暗示をかけていきます。そうして冷静さを取り戻した頃に、優先順位を決めて取り掛かる、というものです。確かに、パニック状態に陥っていると、適切な判断はできません。

アイデアについては、某社で「明日までにこの商品の広告を1つ作れ」という課題を出したところ思いつかないという人が出てきてしまったのに対し、「昼休み中にこの商品の広告を最低10個作れ」という課題では、全員が10個以上のアイデアを出したという例を挙げ、ここにヒントがあるといいます。
過去の偉人たちも、1つのすごいアイデアを出そうとしたわけではなく、たくさん出したアイデアの1つ(あるいは複数)が素晴らしかったということ。アイデアをたくさん出そうとすることから、すごいアイデアが出てくると語ります。

さらに、アイデアは既存の要素の「新しい組み合わせ」であるとして、組み合わせを考えるコツとして、マンダラチャートや、アイデアの公式を紹介しています。

また、なんでもとにかく楽しむことが大事、と著者は語ります。
「良いアイデア」を出そうとするとプレッシャーになってしまいますが、「楽しいことをたくさん考えよう」と思えば使えるアイデアが出てくるかも、そう思わせてくれる1冊です。
2012.10.21 Sun l l コメント (0) トラックバック (0) l top
おはようございます。TNBです。
私の今週のオススメ本はこちらです。


聞く力―心をひらく35のヒント

阿川佐和子
(文春新書)

聞く力



 「筑紫哲也NEWS23」、「ビートたけしのTVタックル」でお馴染み、阿川佐和子さんの著書「聞く力―心をひらく35のヒント」です。
いまやベストセラーとなり、書店の新書コーナーで見ない日はありません。エッセーに近い内容と文章のためとても読みやすく、本書でも紹介されるインタビューの様子などが想像しやすいです。
 週刊文春で「この人に会いたい」という対談連載を900回も続けている著者ですが、なんとインタビューは苦手で、相手から話を引き出すことが上手くなったという実感は無く、今でもどきどきして緊張しながら臨んでいるとのことで驚きました。
 全部で三章構成となり「Ⅰ 聞き上手とは」では、「話を聞く」仕事を始めた経緯と戸惑いなどが紹介され、著者の30回以上のお見合い話やゴルフで得た教訓などプライベートの話を交え、「メールと会話はどう違う」など話を聞くこととはどういうことかといったことが書かれています。
 「Ⅱ 聞く醍醐味」では、これまで行ってきた企業人や会社社長、作家や芸能人、落語家への対談やインタビューなどの仕事での経験の中で発見したことや、敢えて自分でも想定していなかった質問をしたことで話が広がった経験など仕事の中で得た経験が紹介されています。
 「Ⅲ 話しやすい聞き方」では、相槌の極意、安易に「わかります」といわない、フックになる言葉を探すなどハウツーとして即実践できるような著者が普段の取材で気をつけていることが紹介されています。
 相手の気持ちを推し測る、自分ならどう思うかを考える等、当たり前とわかりつつも意外と実践できていないような、思わず「ハッ」とさせられることも書いてあるため、まさに日々の自分を振り返るためのヒントになる本です。
2012.10.16 Tue l l コメント (0) トラックバック (0) l top
 こんにちは、バッカスです。最近読んだ一冊をご紹介します。


自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン
(2012/05/25)
名越 康文

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 精神科医・名越康文氏の著書「自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン」です。本書は、名越氏がストレスの強い医療現場で仕事を続けていくために必要な対人関係やセルフコントロールにつながる心理学的な技法について、医療現場の方を対象に連続講座をされていたものが、内容を文字に起こしたものがインターネットなどでも話題になったため、大幅な加筆修正を加えて出版となったとのこと。医療従事者のみならず、あらゆる人が抱える対人関係やコミュニケーション問題に対応できる内容となっています。
 まず名越氏は、対人関係の問題を解決するには、結局のところ自分の心と向き合うしかない、自分自身の心が抱えている問題を解決しない限り、対人関係の問題も解決できない、と前置きした上で、9つのレッスンを展開していきます。
 レッスン1は「心を見つめる」。人の感情は光の速度よりも速く、瞬時にころころ変わっていて、人は感情という暴れ馬に翻弄されて生きている、心を鎮めることは難しい、といったことが解説されています。
 レッスン2の「“怒りの起源”を知る」では、赤ちゃんはなぜ泣くのか、怒りと愛情欲求についてなど記されています。
 名越氏は、人間が対人関係で悩むことになる原因は、根本に「怒り」があることと説明します。また、仏教で三毒と言われる「貪・瞋・癡」の考え方に基づいて怒りを分析し、不安や見下し、傲慢、自己卑下すらも怒りが基になっているといいます。そして「怒っている」状態では冷静な判断も下せず、仕事のパフォーマンスも上がらず、百害あって一利なしだと説明。
 そんな「怒り」を消していく、完全になくせなくても減らしていくことで、自分のストレスをなくし、かつ対人関係も円滑に変えていくことができるとし、具体的なトレーニングも解説しています。
 トレーニングとして瞑想なども挙げられていますが、そこまで本格的でなくても、日常の中で誰もが実践できそうな、いくつかの方法が記されています。
2012.10.08 Mon l l コメント (1) トラックバック (0) l top
こんにちは。くりぼーです。
今回私がお薦めする書籍は、「Another」(著/綾辻行人)です。

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Another
綾辻行人
角川文庫
本体 700円

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 夜見山北中学3年3組に転校してきた榊原恒一は、入院先の病院で眼帯をした不思議な少女、見崎鳴に遭遇する。恒一は同じクラスに病院で出会った見崎鳴を見つけ話しかけるが、クラスの中で見崎鳴はいないものとして扱われているようだった。鳴も恒一に「自分に話しかけないほうがよい」と忠告する。その理由はこの学校の3年3組ではある年になると、生徒およびその肉親が謎の死を遂げるという「現象」に見舞われるためだった。さらに、クラスには過去の「現象」によって命を落とした「死者」が紛れ込んでいるという。3年3組を襲う死の連鎖」という現象を防ぐために、見崎鳴をクラス全員が無視し「いないもの」として扱うのも、「現象」を防ぐためのものであった。しかしその活動も虚しく、3年3組ではついに死者が出てしまう。その凄惨な死に方に3年3組の生徒は「ついに現象が始まった」と感じ恐怖におののく。「現象」とは何なのか、「死者」は誰なのか、「死の連鎖」は止められるのか・・・。

 本格推理小説『十角館の殺人』などで知られる綾辻行人が放つホラーミステリー。作品全体に漂う退廃的な雰囲気はホラー作品のそれですが、本作品にはミステリーの要素もふんだんに散りばめられており、緻密に配置された伏線は読後に爽快感すら与えてくれます。叙述トリックなどはさすがとしかいいようがありません!
 また主人公の一人称視点で描かれているため読み進めやすく、独特な世界観の割にはスッと作品の中へ入っていけます。話が動くまで静かに展開しますが、後半は息をのむ展開の連続で、一気に読んでしまいました。劇場映画化やアニメ化といったメディアミックス展開もされており、今年注目を集めた作品の1つとして、読み応えのある作品でした。
2012.10.01 Mon l l コメント (0) トラックバック (0) l top
こんにちは、TNBです。
今回の私がオススメする書籍は、「もの食う本」(著/木村衣有子)です。


もの食う本 (2)

もの食う本
木村衣有子
ちくま文庫
本体740円

文学やルポルタージュから漫画や童話まで、40冊の本の中から「食べる」シーンを紹介していく食べものエッセイ。
「センセイの鞄」(著/川上弘美)、「深夜食堂」(著/安倍夜郎)などお馴染みのものから、「天ぷらにソースをかけますか?」(著/野瀬泰申)、「土を喰う日々」(著/水上 勉)など「うん?なんだろう?」と好奇心をくすぐられるものまで様々です。

ただ「美味しそう」と紹介するだけではなく、それぞれのシーンから滲み出てくる「食べる」こと「食」についての哲学や楽しさが、筆者の感想を交えながら書かれていて読みごたえがあります。
筆者の書き出しの文がうまく、最初の数行を読むと引き込まれて、思わず読み耽ってしまいます。また、1章につき5~6ページと短めの文章のため、ちょっと時間が空いたときにも読むことができるため、2つの意味で読みやすい本です。

なにより、料理と食べものの描写が多いので読んでいてお腹が空いてきますし、料理をしたくなってきます。
食べることが好きな方にはぜひオススメの1冊です。
2012.10.01 Mon l l コメント (0) トラックバック (0) l top
こんにちは。秀丸です。
私のオススメする書籍は、「JAL再建の真実」(著/町田 徹)です。

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JAL再建の真実
町田 徹
講談社現代新書
本体760円

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9月19日、再上場を遂げた日本航空(JAL)。その経営破綻に至るまでの顛末が、本書にまとめられています。

JALが会社更生法の適用を申請する3年以上前、筆者は独自の取材をもとに、その実質的な破綻をスクープしました。しかし、不都合な真実を封殺するべく、JALは謝罪文および今後の信用毀損行為を一切行わない旨の誓約書の提出を要求。実際、巨額の簿外債務を抱えながら、航空機購入時に航空機メーカーから受け取るリベートを利益に計上する手法などで、実質的な債務超過状態を覆い隠す決算処理をしていたのにも関わらず…。

批判を許さない企業姿勢には、JALが外部からの問題指摘を真摯に受け止めず、是正策を講じる謙虚さを失っていたと筆者は語っています。

経営破綻に至るまでの顛末は詳細に描かれており、優雅な空の旅を演出する航空会社の裏の顔を目の当たりにできる点が面白いですね。欲を言えば、一代で「京セラ」「KDDI」という世界的大企業を育て上げた稲盛和夫氏がどう辣腕をふるいJALを立ち直らせたのか、詳細に描いてほしかったところでしょうか…。
2012.09.25 Tue l l コメント (0) トラックバック (0) l top
こんにちは、バッカスです。
今週から、編集部員がオススメの一冊を取り上げていきます。

今回、私からは「愛のひだりがわ」(筒井康隆)です。

愛のひだりがわ (新潮文庫)愛のひだりがわ (新潮文庫)
(2006/07)
筒井 康隆

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主人公の「月岡 愛」は小学6年生の女の子。幼い頃に父親が蒸発してしまい、母親とともに、母親の同級生だった男性とその奥さんが営む料理屋に住まわせてもらっていた。ところが母親が亡くなってしまい、愛は小学校も休んで料理屋の手伝いをさせられてしまう。母親が貯めていたお金も奪われ、住み込み先の夫婦に酷い扱いを受ける愛は、父親を捜す旅に出ることを決意する。

 設定は近未来で、日本人も護身用に銃を持ち、町中にたまに死体が転がっているような物騒な世の中。そんな中、小学生の女の子が一人で地方から東京へ向かって、父親を捜し一人旅をするのは無謀とも言える。また、愛は幼い頃に大型犬にかまれた左腕が不自由でもある。

 しかし、愛は生まれ持った特殊な力と、周囲の人々の救いを得て、旅立つ。
 まずは愛の左腕を噛んだグレート・デーンのダンの妻である、デンが愛を守って旅をすると申し出る。愛は犬と会話することができ、デンが旅に出るという愛を守ると言うのだ。
 愛の不自由な左手を守るようにして、デンは愛の左側を歩く。しかし、愛を逃がすまいとする住み込み先の夫婦が自警団を使い、愛を連れ戻そうとする。デンは愛を逃がすために自分がおとりとなり、自警団の銃に撃たれてしまう。
 それでも愛は自分を逃がすために身を挺したデンの気持ちを思い、旅を続ける。そして愛の左側に、また別の護衛者が付いてくれて・・・。

 不思議な力を持った女の子が主人公ということで、「七瀬」シリーズを彷彿とさせる。主人公と同じ年代の小学生でも読めるように、漢字にはルビも多くふってある。テンポよく様々な登場人物が現れ、事件を解決して旅を続けていくので、“次はどうなるのだろう”と、続きが気になり一気に読んでしまう。
 自分が小学生ではないからなのか、それとも作者が小学生でも女の子でもないからなのか、少し現実離れしたセリフもあるように感じた。しかしその部分を差し引いても、爽やかな読後感を得られる作品。
2012.09.24 Mon l l コメント (0) トラックバック (0) l top
昔から海に恐怖心を持つバッカスです。

3.11後に書店で取り扱いが大きくなっていたので、読んでみました。
吉村昭の「三陸海岸大津波」。

三陸海岸大津波 (文春文庫)三陸海岸大津波 (文春文庫)
(2004/03/12)
吉村 昭

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吉村氏は三陸海岸が好きでよく旅行していて、そのうち過去に何度も三陸を襲った津波に興味を持ち、当時津波の記憶を持っていた方々に話を聞いたり、史料を調べて執筆したようです。

明治29年、昭和8年の津波の際には、地震の数日前から井戸水が減ったり濁ったり、また海では不漁の後に急に過去にない豊漁になったり、不思議な現象が起こっていたようです。

昭和35年にはチリ地震による津波が襲い、その際には、津波の知らせに「地震がなかったから津波は来ない」と信じていた住民の方もいたようです。
しかし、過去の教訓をもとに、全員が避難できた地区もあったとか。
まさに、災害は忘れた頃にやってくるんですね。
2011.05.28 Sat l l コメント (0) トラックバック (0) l top
こんにちは、砂男です。

この間取材先でマイケル・クライトンの『アンドロメダ病原体』のことが話題に上り、おもしろそうだったので土日に早速読んでみました。

この作品は未知の病原体に対し、調査と対策を模索する人々の姿を描いたSF小説です。

各分野のスペシャリストがチームを作り、全くわからない病原体の正体を、様々な調査方法を使い絞りこんでいき、その対策を考え出していきます。

少し古い作品ではありますが、バイオハザードを防ごうとする科学者たちの姿とその手法、考え方を丁寧に描いたこの小説は、研究室内という静かな状況の中のスリルを感じさせてくれました。


アンドロメダ病原体 (ハヤカワ文庫 SF (208))アンドロメダ病原体 (ハヤカワ文庫 SF (208))
(1976/10/19)
マイクル・クライトン、浅倉 久志 他

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2011.05.16 Mon l l コメント (0) トラックバック (0) l top

こんにちは、いるかです。

今、本屋だけが本を売っているわけではありません。
有名なもので言えば六本木ヒルズに入っているスターバックスとTUTAYAのコラボ。
店内でコーヒーを飲みながら本を読むことが出来き、気に入れば購入することも出来ます。

ここは有名ですよね。
僕は大好きです。ぜひ!

もう一つ、気になるものを発見!

フレッシュではありませんが・・・

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カフェのメニューに文庫本 書店以外で本を売れ
2年前の6月17日の産経新聞に載っていたようです。

東京南青山にあるスパイラルカフェというお店が、限定メニューとうことでメニュー表に文庫本を載せたそうです。

おもしろいですね!
そのままお持ち帰りも出来るよう。

この限定メニューは2年前の期間限定だったそうなのでフレッシュではありませんが
もしかしたら他のお店もやっているかもしれません。

写真はシブヤ経済新聞から引用http://www.shibukei.com/headline/6322/

2011.04.14 Thu l l コメント (0) トラックバック (0) l top
いるかです。

品川経済書店というのをご存知ですか?
忙しいビジネスマンのためにビジネス書を売っているそうなのですが、
なんと!リアカーで本を売っています。

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写真はリアカーブログから引用

これまでの書店で売るという考えを変える新しい書店(?)です。
リヤカーに自分たちのお気に入りの本を乗せて、販売しているそうです。

場所は品川ですが秋葉原や、今日は渋谷にも出しているそうです。
売る場所はリヤカーの特性を活かし、移動するのでご注意を。



2011.04.14 Thu l l コメント (0) トラックバック (0) l top
ひよこ豆です

最近赤ちゃんが生まれた友人へのプレゼントにしようと買った
『赤ちゃんを爆笑させる方法』という本。
プレゼントする前にちょっと読ませてもらいましたが、これ、非常に面白い本です。
赤ちゃんを爆笑させる方法赤ちゃんを爆笑させる方法
(2009/09/16)
岡部 敬史

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赤ちゃん期の育児において、たいがいのことは母親のほうが上手にできてしまうので、
父親は「赤ちゃんを笑わせる係」になって育児参加しよう!というのが著者のメッセージです。
特に0歳期の赤ちゃんは、自分から勝手に遊ぶということがないのだから
赤ちゃんをあやして、遊ばせるためには、大人の側から考えて工夫することが必要、
ということで、かわいいマンガつきで実践的なエピソードが沢山紹介されていて
とても面白いです。

例えば、「赤ちゃんにレモンをなめさせると大爆笑」というネタ。
アメリカでは定番のネタらしく、Youtubeで検索すると動画がたくさんヒットします。
赤ちゃんにはじめてのレモンをなめさせるとびっくりして笑う。そういう可愛い瞬間を見逃すな!というネタです。
「lemon baby」の検索結果

編集者.jpというサイトで、著者のインタビューを読んだら
「届けたいメッセージを売れるようにするのがプロの技」というメッセージ。
なるほど、と唸ってしまいました。
編集者.jp タコスタジオ 岡部敬史さん
http://www.henshusha.jp/2009/09/02/mrokabe03/

2011.04.03 Sun l l コメント (0) トラックバック (0) l top
こんにちは。砂男です。

今回は、この間私が呼んだ本について、紹介いたします。


トーベ・ヤンソン短篇集トーベ・ヤンソン短篇集
(2005/07/06)
トーベ・ヤンソン

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トーベ・ヤンソンといえばすぐに「ムーミンシリーズ」が思い出されますが、一般向けの小説もけっこうな数を発表しています。
そんな中で、お求め安い文庫本で購入できるのがこの本です。

この短編集には彼女自身をモデルにしたと思われる島暮らしをする女性の話「リス」があり、そこには島暮らしの中にいる人物の、機微な感情の動きが繊細な筆で表現されています。
(トーベ・ヤンソン自身も、長く島で暮らしていたそうです)

その他、「往復書簡」の中では、作者の創作に対する考えを少しうかがう事ができる様に感じました。

また、トーベ・ヤンソンの小説では「誠実な詐欺師」という作品も、文庫本で出版されています。

ムーミンシリーズとは違う作者の一面が見られる本でした。

2011.01.11 Tue l l コメント (0) トラックバック (0) l top
こんにちは、エリンギです。

昨年から引き続き、音楽、ドラマ、食べ物と空前の韓国ブームですね。
街中でもK-POPをよく耳にします。
ちなみにうちの母(50代)は、ご多分に漏れず韓流ドラマが大好きです…

勢いがすごいのはエンターテイメント分野だけではありません。
スマートフォン「ギャラクシー」シリーズや半導体メモリ、液晶パネル
メーカとして有名なサムスン電子をはじめとする、韓国系企業が経済界でも
大躍進しています。

そこで正月休みはこんな本を読んでみました。

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「おそるべし韓国企業~日本がサムスンに勝てない理由」(野口 透著、扶桑社新書)です。

わずか数年で、サムスンが世界的なトップ企業へ登りつめたのは何故だったのか。

そこには、「目先の利益にとらわれないオーナー経営」「スピード経営」
「選択と集中の経営」があったからだ、と著者は書いています。

特に、リーマンショックで赤字に転落してから
わずか1四半期で経営を建て直した際の、
「即断即決で手を打ち続けるため、建てたばかりの一等地の新社屋を捨て、
都心から離れた本社工場に幹部社員、企画、営業部隊を集めた」という危機対応は見ものです。
変なプライドに邪魔されない決断の早さ、フットワークの軽さ、そして成長への情熱と努力を感じます。

私はあまりK-POPには興味がありませんが、テレビに出ている
韓国のアイドルたちが、流暢に日本語を操るのを観る度に関心していました。

「韓国のアイドルグループは単に韓流ブームへの便乗を狙ったものではなく、
世界戦略を見据え、何年もかけて歌やダンスだけではなく語学力を仕込んだ
エンタテイメントビジネスの対日進出なのだ」という著者の一文が印象に残る一冊でした。
2011.01.11 Tue l l コメント (0) トラックバック (0) l top