こんにちは、Rad Tunesは初の納豆ウーマンです。
数年前に読んだ本ですが、最近同書の2が出版されたので改めて読み直した本です。
著者の取材に基づきながら、アメリカにおける貧困層を肥満や徴兵政策といった複数のテーマから分析し、アメリカ社会の側面を明らかにしている本です。
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特に印象的だったのが、アメリカの医療政策について書かれている「第3章 一度の病気で貧困層に転落する人々」です。1980年代以降、新自由主義の流れが主流になるにつれて、アメリカの公的医療のじょじょに縮小され、政府は「自己責任」の言葉の下、「自由診療」という保険外診療を増やしていきました。そのため、医療費という金銭面において、国民皆保険制度があり、病気になれば躊躇することなく病院に行ける日本と異なり、アメリカでは中間層がたった一日の入院で自己破産に陥るほどの高額な医療費を請求されます。一方で、民間の医療保険に加入しても、カバーされる範囲はかなり限定的で支払われない場合が少なくありません。
また、患者と同様、医師の側にも多くの負担が強いられます。アメリカでも産科医不足は深刻な問題ですが、それは廃業に追い込まれる医師が少なくないからです。訴訟の多いアメリカでは、産科医の収入の半分が損害賠償保険の掛け金として消えてしまうことも珍しくありません。また、勤務時間の長さも医師を圧迫していますが、それは診療だけでなく、各保険会社ことに異なるマニュアルに対する事務処理も含まれます。しかし、それらの処理を疎かにすることはできません。各保険会社による医療機関対象の評価である「評価システム」で厳しい評価がついた場合、ある期間内に改善されなければ保険会社から契約医認定の取り消しを通告されるからです。
さらに、ある病院チェーンを取り上げ、病院が株式会社化し、病院経営者はサービスよりも利益目標を達成することのみ終始するという問題も取り上げています。
保険会社や製薬会社が利益を得、患者や医師に多くの負担を強いるアメリカの医療政策に対して、著者は、国民の「いのち」に対しての国の責任範囲を縮小し、「民間」に運営させることは取り返しのつかない「医療格差」を生み出した、と警告しています。同書を読み、改めて日本における医療のあり方というものを考えさせられました。
数年前に読んだ本ですが、最近同書の2が出版されたので改めて読み直した本です。
著者の取材に基づきながら、アメリカにおける貧困層を肥満や徴兵政策といった複数のテーマから分析し、アメリカ社会の側面を明らかにしている本です。
![]() | ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書) (2008/01) 堤 未果 商品詳細を見る |
特に印象的だったのが、アメリカの医療政策について書かれている「第3章 一度の病気で貧困層に転落する人々」です。1980年代以降、新自由主義の流れが主流になるにつれて、アメリカの公的医療のじょじょに縮小され、政府は「自己責任」の言葉の下、「自由診療」という保険外診療を増やしていきました。そのため、医療費という金銭面において、国民皆保険制度があり、病気になれば躊躇することなく病院に行ける日本と異なり、アメリカでは中間層がたった一日の入院で自己破産に陥るほどの高額な医療費を請求されます。一方で、民間の医療保険に加入しても、カバーされる範囲はかなり限定的で支払われない場合が少なくありません。
また、患者と同様、医師の側にも多くの負担が強いられます。アメリカでも産科医不足は深刻な問題ですが、それは廃業に追い込まれる医師が少なくないからです。訴訟の多いアメリカでは、産科医の収入の半分が損害賠償保険の掛け金として消えてしまうことも珍しくありません。また、勤務時間の長さも医師を圧迫していますが、それは診療だけでなく、各保険会社ことに異なるマニュアルに対する事務処理も含まれます。しかし、それらの処理を疎かにすることはできません。各保険会社による医療機関対象の評価である「評価システム」で厳しい評価がついた場合、ある期間内に改善されなければ保険会社から契約医認定の取り消しを通告されるからです。
さらに、ある病院チェーンを取り上げ、病院が株式会社化し、病院経営者はサービスよりも利益目標を達成することのみ終始するという問題も取り上げています。
保険会社や製薬会社が利益を得、患者や医師に多くの負担を強いるアメリカの医療政策に対して、著者は、国民の「いのち」に対しての国の責任範囲を縮小し、「民間」に運営させることは取り返しのつかない「医療格差」を生み出した、と警告しています。同書を読み、改めて日本における医療のあり方というものを考えさせられました。
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