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こんにちは。秀丸です。
私のオススメする書籍は、「JAL再建の真実」(著/町田 徹)です。

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JAL再建の真実
町田 徹
講談社現代新書
本体760円

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9月19日、再上場を遂げた日本航空(JAL)。その経営破綻に至るまでの顛末が、本書にまとめられています。

JALが会社更生法の適用を申請する3年以上前、筆者は独自の取材をもとに、その実質的な破綻をスクープしました。しかし、不都合な真実を封殺するべく、JALは謝罪文および今後の信用毀損行為を一切行わない旨の誓約書の提出を要求。実際、巨額の簿外債務を抱えながら、航空機購入時に航空機メーカーから受け取るリベートを利益に計上する手法などで、実質的な債務超過状態を覆い隠す決算処理をしていたのにも関わらず…。

批判を許さない企業姿勢には、JALが外部からの問題指摘を真摯に受け止めず、是正策を講じる謙虚さを失っていたと筆者は語っています。

経営破綻に至るまでの顛末は詳細に描かれており、優雅な空の旅を演出する航空会社の裏の顔を目の当たりにできる点が面白いですね。欲を言えば、一代で「京セラ」「KDDI」という世界的大企業を育て上げた稲盛和夫氏がどう辣腕をふるいJALを立ち直らせたのか、詳細に描いてほしかったところでしょうか…。
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2012.09.25 Tue l l コメント (0) トラックバック (0) l top
こんにちは、バッカスです。
今週から、編集部員がオススメの一冊を取り上げていきます。

今回、私からは「愛のひだりがわ」(筒井康隆)です。

愛のひだりがわ (新潮文庫)愛のひだりがわ (新潮文庫)
(2006/07)
筒井 康隆

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主人公の「月岡 愛」は小学6年生の女の子。幼い頃に父親が蒸発してしまい、母親とともに、母親の同級生だった男性とその奥さんが営む料理屋に住まわせてもらっていた。ところが母親が亡くなってしまい、愛は小学校も休んで料理屋の手伝いをさせられてしまう。母親が貯めていたお金も奪われ、住み込み先の夫婦に酷い扱いを受ける愛は、父親を捜す旅に出ることを決意する。

 設定は近未来で、日本人も護身用に銃を持ち、町中にたまに死体が転がっているような物騒な世の中。そんな中、小学生の女の子が一人で地方から東京へ向かって、父親を捜し一人旅をするのは無謀とも言える。また、愛は幼い頃に大型犬にかまれた左腕が不自由でもある。

 しかし、愛は生まれ持った特殊な力と、周囲の人々の救いを得て、旅立つ。
 まずは愛の左腕を噛んだグレート・デーンのダンの妻である、デンが愛を守って旅をすると申し出る。愛は犬と会話することができ、デンが旅に出るという愛を守ると言うのだ。
 愛の不自由な左手を守るようにして、デンは愛の左側を歩く。しかし、愛を逃がすまいとする住み込み先の夫婦が自警団を使い、愛を連れ戻そうとする。デンは愛を逃がすために自分がおとりとなり、自警団の銃に撃たれてしまう。
 それでも愛は自分を逃がすために身を挺したデンの気持ちを思い、旅を続ける。そして愛の左側に、また別の護衛者が付いてくれて・・・。

 不思議な力を持った女の子が主人公ということで、「七瀬」シリーズを彷彿とさせる。主人公と同じ年代の小学生でも読めるように、漢字にはルビも多くふってある。テンポよく様々な登場人物が現れ、事件を解決して旅を続けていくので、“次はどうなるのだろう”と、続きが気になり一気に読んでしまう。
 自分が小学生ではないからなのか、それとも作者が小学生でも女の子でもないからなのか、少し現実離れしたセリフもあるように感じた。しかしその部分を差し引いても、爽やかな読後感を得られる作品。
2012.09.24 Mon l l コメント (0) トラックバック (0) l top