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こんばんは、秀丸です。

今回私がご紹介したい書籍は、
『想像力なき日本—アートの現場で蘇る「覚悟」と「継続」』(著:村上隆)です。
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本書では、日本を代表するアーティスト村上隆氏が、
世界で勝負できる組織づくりを解説。
同氏は、今の若い世代の労働力の低下は、
「アイデンティティを持たないことが正義である」という哲学が
浸透してしまったことにあると述べている。

個人のマインドセットには、組織構成や戦略といった思考様式や思い込み、
企業のマインドセットには、組織構成や戦略といった要素が含まれる。
慣れ合い的なそれらを一つ一つ解体していくことでしか、
世界で戦える“力”を生み出せないとしている。

「ただ撃てばいい」「そうしていれば、そのうち当たるかもしれない」というスタンスを見直さなければ、
個人としても組織としても、将来に未来を見出せないとも語る。

アートの世界はご機嫌取りとは無縁の世界と考える方も多いが、
実は“どれだけうまくご機嫌取りができるかが問われる世界”だという。
その対象は世間であることも多いが、特定の個人、顧客である場合もある。
不平等と思われる環境のもと、強い覚悟をもった一握りの者だけが成功できると、
同氏は自身の経験から語る。

クライアントの要求の咀嚼、受け手に対するサービス精神、ルールの把握とマーケット分析、
そういった基礎的な部分をしっかりと構築した上で、
そこに自身の感性を上乗せし、芸術として昇華させるのが同氏の手法。
これらはビジネスの世界にも共通する事項となっている。

アートもビジネスも沈む日本において、
世界で戦える組織作りを学べるのが本書。

年末年始にぜひご一読を!
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2012.12.11 Tue l 未分類 l コメント (1) トラックバック (0) l top
こんにちは、バッカスです。

今回は「モーツァルトとレクター博士の医学講座」をご紹介します。

モーツァルトとレクター博士の医学講座モーツァルトとレクター博士の医学講座
(2012/11/20)
久坂部 羊

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まずタイトルに惹かれてしまう本書。
確かに、レクター博士(「羊たちの沈黙」)からの引用が、数箇所に見られます。
日下部 羊氏は、呼吸器系、消化器系、循環器系、神経系・・・などに分けて、人体の各所について解説していきます。

例えば第5講「神経系」では「羊たちの沈黙」を絡め、レクター博士が憎まれ役の司法省監察次官補を捕まえ生きたまま頭蓋骨を切り取り露出した脳をすくって食べるシーンを引用し、しかし、脳の表面には知覚神経がないので、救い取られても痛くない、頭蓋骨を切断するときだけ局部麻酔をかけておけば、問題なくできるだろう、という医師ならではの見解を示しています。

他には、男性ホルモンによって起こる男性型脱毛について自身の増毛剤使用経験を披露したり、若かりし頃に観察した自身の精子の動きを解説したり、また昨今の健康ブームで広がるサプリメントへの疑問なども書かれています。
また、健康を求めすぎるあまりに行き過ぎた健診(メタボリック検診など)や、行き過ぎた治療についても、果たしてそれが幸せなのかと疑問を呈しています。

知っているようで知らない、医学の知識が得られる一冊。
氏は、世間があまりに健康を求めるために詐欺に近い情報や商品が氾濫している、それに騙されない知識を持ってほしいとしています。
2012.12.10 Mon l l コメント (0) トラックバック (0) l top

こんにちは、編集部です。

神保町の三省堂本店様にて、POPも掲示していただき、「低線量被ばくKEY BOOK」をPRしていただいております。
ありがとうございます!

現在、続々とご注文いただいております。

書店で見かけた際には、ぜひお手に取ってご覧いただければ、そしてご購入いただければなお幸いです。





2012.12.08 Sat l 未分類 l コメント (0) トラックバック (0) l top

こんにちは、くりぼーです。
何となく、食わず嫌いで読まずにいた本を読みましたので、ご紹介します!

ステップファザー・ステップ(著・宮部みゆき/講談社文庫)


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 中学生の双子の兄弟と、彼らの父親代わりをする羽目になったプロの泥棒である主人公の身にふりかかる様々な事件を描いたユーモアミステリー。かわいらしくも憎たらしい双子の主人公と、プロの泥棒ながらも、なんだかんだと双子の面倒を見てしまう主人公の掛け合いや駆け引きは軽快で、すぐに本書の虜にさせられてしまいます。双子の親は同時期に駆け落ちしており、姿をくらました両親の代わりに主人公が「ステップファザー」(stepfather)、「継父」役をすることになるのですが、この設定の強引さが気にならない文章は、さすがは宮部みゆき!と唸らされます。
 さらに、全体的にトーンの明るい作品ではあるのですが、重たいテーマが見え隠れしたり、心情の変化を読者にも共感できるように描かれていたりといったテクニック・・・というと陳腐になってしまいますが、その辺りが巧みで、気づいたら一気に読んでしまっています。
 少し物足りないかな?と思う分量とラストではあるのですが、「もっと読みたい!」と思ってしまうのは、作者の計算によるものなのでしょうか。ミステリー作家さんにはいつも手玉にとられてしまいます。肩肘を張らずに読んでいるといつの間にか熱中してしまう・・・好きな作家の本を読むのは、やはりいいですね!
 
2012.12.03 Mon l 未分類 l コメント (0) トラックバック (0) l top
こんばんは、TNBです。
 今回は「往復書簡」(著・湊かなえ、幻冬舎文庫)をご紹介いたします。


往復書簡 (幻冬舎文庫)往復書簡 (幻冬舎文庫)
(2012/08/02)
湊 かなえ

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 先月、映画が効果された『北のカナリアたち』。その原案となった「二十年後の宿題」が収められている短編集です。
 湊かなえさんというと『告白』で鮮烈なデビューを飾り、また映画のショッキングな映像や設定が個人的に印象として強かったので、「吉永小百合さん主演の映画、その原作はどのような内容なのだろうか?」と気になり読みました。
 本書は往復書簡の名のとおり、登場人物同士の手紙のやりとりがひたすら続きます。手紙のやりとりを読み進めるうちに、過去にあった出来事(事件や事故)が徐々にあきらかになり、それに伴い登場人物の本音や隠していた事実、気づかなかった想いのすれ違い等がわかってきます。過去から現在に向けて、他人同士の手紙のやりとりを読むことで少しづつ謎が紐解かれていくミステリーです。
 「十年後の卒業文集」では高校時代の同級生の結婚を期に十年ぶりに会った友人から、「二十年後の宿題」では病床に伏せている小学校時代の恩師から「十五年後の補修」では日本に残してきた恋人からそれぞれの理由で手紙が届き物語が始まります。
 基本的に、どの話も独立していて、登場人物や舞台もそれぞれ異なりますが、短編集の醍醐味と言うのでしょうか、最後の1編「一年後の連絡網」でそれぞれの話が繋がる瞬間があり「二ヤっ」とさせられます。
 読み進めるうちに、読者は手紙を書いている本人になったような、時には他人の手紙のやりとりをのぞき見てしまっているような不思議な感覚に陥ります。また、手紙のやりとりという独特のテンポで文章が進んでいくため、なかなか物語の核心にたどり着けないもどかしさや、真実がわかったときの爽快感があり、何とも言えない読後感が味わえます。 どの話も読み応えがありおもしろいのですが、個人的にはやはり「二十年後の宿題」が一番でした。
 登場人物が20代後半~30代と年代も近く、題材も旧友との思い出、同窓会、結婚、過去と向き合う等いまの自分にとっても考えされる題材が散りばめられており、感銘も受け考えさせれる場面も多くありました。
 静かな雰囲気でちょっと毛色の異なるミステリーが読みたい方は、ぜひご一読ください。
2012.12.02 Sun l 未分類 l コメント (0) トラックバック (0) l top